一般的に、インナーテラスとは建物の内側や屋根の下に設けられ、室内と屋外の中間のように使えるテラス空間を指します。明確な定義はなく、住宅会社によって、窓で囲まれた屋内型の空間や、外気に開かれた半屋外型の空間などを「インナーテラス」と呼ぶ場合があります。本記事では、インナーテラスを間取りに取り入れるメリットやおすすめの間取りパターン、設計のポイントをわかりやすく解説します。
インナーテラスとは、建物の一部として屋根や壁、窓などに囲まれた屋内と屋外の中間的な空間です。ガラス窓で仕切って室内の一部として使う「屋内型」と、屋根はあるものの外気に開かれた「半屋外型」の2つのパターンがあります。
どちらのタイプも、屋根の下で外の光を感じながら過ごせる点が魅力です。屋内型は窓を開ければ外の風を採り入れやすく、半屋外型は屋根によって雨や日差しの影響をやわらげやすいのが特徴です。リビングの延長として、また物干しや趣味のスペースとして幅広く活用できます。
似た設備にベランダやバルコニーがありますが、屋根や窓の有無、主な用途などは以下のように異なります。
| 設備 | 屋根の有無 | 空間の特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| インナーテラス |
あり(建物と一体) |
建物の内側や屋根の下に設けられた、室内と屋外の中間的な空間 |
物干し、セカンドリビング、趣味のスペースなど |
| バルコニー |
ない場合が多いが、上階の床や庇などがかかる場合もある |
一般に2階以上の建物外部に設けられる屋外空間 |
物干し、ガーデニングなど |
| ベランダ |
屋根や庇がかかっている場合が多い |
建物の外側に設けられた屋外空間 |
物干し、くつろぎのスペースなど |
なお、上記は一般的な呼び方の例であり、名称や仕様は住宅会社・建物によって異なります。間取りの打ち合わせでは名称だけで判断せず、屋根や窓の有無といった仕様まで確認しておくと安心です。
インナーテラスには日々の家事から趣味の時間まで、暮らしを豊かにするさまざまなメリットがあります。
屋内型のインナーテラスなら、急な雨や強風の影響を受けにくく、天候を気にせず洗濯物を干しやすくなります。そのため、日中に洗濯物を取り込みにくいご家庭にも便利です。
また、屋外干しに比べて花粉や黄砂などの付着も防ぎやすくなります。外気中の花粉などをできるだけ室内へ持ち込みたくないご家庭にとっても、活用しやすい空間です。
インナーテラスをリビングに隣接させると、実際の面積以上の広がりを感じられます。床の高さをそろえてフラットにつなげば、視線がテラスの先まで抜けて、空間がひと続きに見えるためです。
床材の色味をそろえると、より一体感のある空間を演出できるでしょう。
インナーテラスは、外からの視線に配慮しやすい設備です。一般的なテラスやウッドデッキでは、道路や隣家からの視線が気になり、次第に使いにくく感じる場合があります。その点、壁や窓に囲まれたインナーテラスなら、配置を工夫すれば視線を遮りながら開放的に過ごせます。人目を気にせず食事やお茶の時間を楽しんだり、ペットの遊び場にしたりと、活用の幅が広がるでしょう。
インナーテラスの使い勝手は、どこに配置するかで大きく変わります。
洗濯動線を優先するなら、洗面室やランドリールームと直結させる間取りがおすすめです。「洗う、干す、たたむ」という一連の作業で、移動時間を短縮しやすくなります。
さらに、ファミリークローゼットを近くに配置すれば、収納までの動線もひとつにまとまります。家事の時短につながりやすく、共働き世帯や子育て世帯にも取り入れやすいプランです。
リビングの延長として使いたい方には、大開口窓でリビングとつなぐ間取りが向いています。床をフラットにそろえて仕切りの窓を開け放てば、リビングと一体の大空間として使えるためです。普段は開放的な「セカンドリビング」としてくつろぎ、来客時には窓を閉めて独立した空間に切り替えるといった柔軟な使い方もできます。
周囲の視線や日当たりが気になる敷地では、インナーテラスを2階へ配置する方法が有効です。地上より視線が届きにくいため、カーテンを開けたまま過ごしやすくなります。
また、敷地条件によっては、1階よりも隣家の影の影響を抑えられ、日当たりを確保しやすくなります。2階リビングと組み合わせれば、明るく開放的なワンフロアをつくりやすいでしょう。
アウトドアやペットとの暮らしを楽しみたい方は、土間(玄関周りの土足で使える床)と直結させる間取りが便利です。土足のまま土間からインナーテラスへ出入りでき、泥汚れを伴う作業をテラス側で済ませやすいためです。
キャンプ用品や自転車、ベビーカーなども、居室へ持ち込まずにインナーテラスで手入れしやすくなります。また、散歩帰りにインナーテラスでペットの足を洗ってからリビングへ入るといった動線もつくりやすいでしょう。
建物で囲んだ中庭(パティオ)のように、インナーテラスを配置する方法もあります。北向きの部屋や住宅密集地でも、中庭の広さや開口部を適切に計画することで、建物内部へ光や風を採り入れやすくなります。外部への開口を最小限にできるので、防犯面やプライバシー面でも安心感を得やすい間取りです。
インナーテラスを快適に使い続けるには、設計段階での配慮が欠かせません。
インナーテラスを設ける際は、建築費と税金への影響をあらかじめ確認しておきましょう。屋根や壁、窓で囲む構造のため、同じ広さの屋外テラスなどと比べて建築費が上がりやすいからです。
窓や壁で囲まれ、室内の一部として扱われるインナーテラスは、床面積に算入される場合があります。半屋外型は形状や開放性によって扱いが異なるため、設計者に確認しましょう。床面積に算入される場合は、容積率や固定資産税の評価にも影響する可能性があります。
インナーテラスの奥にある部屋の日当たりにも配慮しましょう。テラス部分に屋根がかかる分、隣接するリビングなどへ届く光が減ってしまう場合があるためです。
天窓(トップライト)や高窓(ハイサイドライト)を組み合わせる、吹き抜けを設けるなど、住まい全体の採光計画とセットで検討しましょう。設計時に日当たりのシミュレーションを依頼するのも有効です。
インナーテラスを快適に保つには、日々の掃除と定期的なメンテナンスが欠かせません。半屋外の空間はほこりや土汚れがたまりやすく、放置するとせっかくの空間が物置になってしまいがちです。
洗濯物を干したり水を使ったりする場合は、湿気対策も重要になります。換気扇や通風窓の設置、窓周りの防水・排水計画まで、設計段階で盛り込んでおきましょう。掃除しやすい素材や、水に強い素材を選ぶのもポイントです。
ガラス面の多いインナーテラスでは、夏の暑さと冬の冷えへの対策が欠かせません。窓は壁に比べて熱の出入りが大きく、対策をしないと夏は暑く冬は寒い空間になりやすいためです。
窓の断熱性能を高める方法や、シェードなどで日射を調整する方法などが有効です。リビングと一体化させる場合は冷暖房の対象範囲も広がるため、住まい全体の断熱・気密性能を高めておくと安心です。
インナーテラスは、家事動線やくつろぎ方に合わせて多目的に活用できる空間です。屋内型・半屋外型のいずれも、日射や風雨、隣接する室内への熱の影響などを考えながら計画することが大切です。
高い気密性・断熱性を備えたスウェーデンハウスなら、インナーテラスとつながる室内の快適性にも配慮しながら、開口部や日射、空間のつながりまで含めた住まい全体の計画が可能です。敷地条件や家事動線、家族のライフスタイルに合わせて、ホームコンサルタントと相談しながら、暮らしをより豊かにするインナーテラスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
[筆者プロフィール]
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、社会保険労務士、行政書士
行政機関で約10年勤務した後、不動産会社や保険代理店での実務を経て独立。現在は金融・不動産分野を中心に、資格と実務経験を活かした記事の執筆・監修を手がける。これまでに携わった記事は累計1,500本以上。